では、この電気工事業では、ISO9001を使って、どのように品質管理をするのでしょうか。
品質マネジメントシステムは、大別すると、4. 品質マネジメントシステム 、5. リーダーシップ 、6. 計画、 7. 支援、 8. 製品の実現、 9. パフォーマンス評価、 10. 改善 になります。
さらに細かくしてみると、以下のようになります。
- 5. リーダーシップ
- 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
- 5.2 品質方針
- 5.3 組織の役割、責任及び権限
- 6. 計画
- 6.1 リスク及び機会への取組み
- 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
- 6.3 変更の計画
- 7. 支援
- 7.1 資源
- 7.1.3 インフラストラクチャー
- 7.1.4 作業環境
- 7.1.5 監視及び測定機器の管理
- 7.1.6 組織の知識
- 7.2 力量
- 7.3 認識
- 7.4 コミュニケーション
- 7.5 文書化した情報 (品質マニュアル、文書管理、記録の管理)
- 8. 施工の実現
- 8.1 施工実現の計画と管理
- 8.2 顧客関連のプロセス(顧客とのコミュニケーション、 施工に関連する要求事項の明確化、施工に関連する要求事項のレビュー、要求事項の変更管理)
- 8.3 設計・開発(設計・開発の計画、設計・開発へのインプット、設計・開発の管理、設計・開発からのアウトプット、設計・開発の変更管理 )
- 8.4 購買(管理の方式及び程度、外部提供者に対する情報 )
- 8.5 施工の提供(施工提供の管理、施工提供に関するプロセスの妥当性確認、識別及びトレーサビリティ、顧客の所有物、製品の保存、引渡し後の活動、変更の管理 )
- 8.6 製品の監視及び測定
- 8.7 不適合製品の管理
- 9. パフォーマンス評価
- 9.1 監視及び測定(プロセスの監視・測定、顧客満足、データ分析・評価 )
- 9.2 内部監査
- 9.3 マネジメントレビュー(一般、マネジメントレビューへのインプット、マネジメントレビューからのアウトプット)
このページの冒頭で電気工事業の大まかな流れを示した業務フローは一般論に過ぎません。施工するにはその前後にも多くのプロセスがあります。
これらも管理しないと、よい施工を安定的に提供することができません。
まず、顧客から依頼があって施工する受注する場合と、入札で受注したのち基本設計、実施設計を行い、施工する場合など、細かくはケースによっていろいろなフローが存在します。どの場合であっても顧客の要求事項を満足させるためには営業活動が必要です。
それが 8.2 顧客関連のプロセスです。
顧客関連のプロセスは、仕様を明確にすること、積算のうえ御見積書などで条件と詰めること、受注可能な案件なのか、施工可能なのかレビューすること、顧客とのコミュニケーションをとるなど、管理すべき点がいくつかあります。
ずさんな営業活動は、赤字受注やクレーム対応のまずさから顧客不満足につながったり、信用失墜になるなどの結果を招きます。品質管理活動の大事なプロセスの一部なのです。
受注したら、図面や仕様書から、どのように施工を実現したらよいか、品質計画をつくります。これが8.1 施工実現の計画です。一般的には、「施工計画書」などにより計画されます。~
次に、具体的な設計開発が必要な場合、8.3 設計・開発のプロセスを管理する必要があります。
設計開発のプロセスを終え、施工に先立ち、在庫引き当てや材料手配が必要になります。それが8.4 購買です。
協力業者を選定し、発注し、受入れ検査を終えたら、いよいよ施工です。これが8.5 施工及びサービス提供です。
施工には、施工のできばえをチェックするために、絶縁抵抗計、照度計、接地抵抗計、テスタ−などの計測器が必要になります。また、高圧検電器、巻尺、コンベックス、トルクレンチなど目安を測定する機器もあります。これらの計測器は、7.1.5 監視機器及び測定機器の管理で管理します。
施工の基幹プロセスは、8. 製品の実現で実現してくのですが、それを支えるプロセスの7. 資源の運用管理、9. パフォーマンス評価、10.改善での管理項目も管理する必要があります。
例えば、電気工事は、電気工事士など資格がないと作業に携わることができないという前提条件のある作業も多く、力量の管理や安全な作業を行うための教育・訓練も重要になってきます。これに関係する要求事項には、7.2 力量、7.3 認識、7.4 コミュニケーション、7.1.6 組織の知識、6.1 リスク及び機会への取組みなどがあります。