日本経営品質賞の評価基準は、次に挙げる8つの基本的な考え方に基づいています。カッコ内の数字は配点を
表しています。全体が1000点満点で評価される仕組みとなっています。~
この考え方が企業経営に反映されているかをさまざまな評価基準から審査していくのです。この考え方は、世
界の国家経営品質賞におおむね共通しており、いわば世界中の「良い会社」の共通項とでもいえるものです。
1. 経営ビジョンとリーダーシップ(170)
1.1リーダーシップ発揮のしくみ 1.2社会的責任と企業倫理
2. 情報の共有化と活用(80)
2.1情報の選択と共有化 2.2競合比較とベンチマーキング 戦略の策定と展開(80)
3. 戦略の策定と展開(80)
3.1戦略の策定 3.2戦略の展開 人材開発と学習環境(110)
4. 人材開発と学習環境(110)
4.1人材計画の立案 4.2学習環境 4.3社員教育・訓練、自己啓発 4.4社員満足
5. プロセス・マネジメント(110)
5.1基幹業務プロセスのマネジメント 5.2支援業務プロセスのマネジメント
5.3サプライヤーとの協力関係
6. 顧客・市場への迅速な対応(150)
6.1顧客・市場の理解 6.2顧客への対応 6.3顧客満足の明確化
7. 企業活動の成果(200)
8. 顧客満足(100)
日本経営品質賞の審査基準を見れば、顧客満足経営実践の仕組みとしてどのような点に力を入れているかが
理解できます。総体的に、結果よりも業務プロセスが優れているかどうかを重視する傾向が強いことがわかり
ます。~
「リーダーシップ発揮の仕組み」は、配点が100点と大きく、強いリーダーシップを重要視していることが判
ります。また、「社会的責任と企業倫理」の配点70点は、企業の不祥事防止の観点から重くなっていることが
読み取れます。
「戦略の策定と展開」は、戦略の内容自身について深い考察を加えるものではなく、プロセスとしての戦略策
定・展開を評価するものなので、このカテゴリーの配点は80点になっています。~
「顧客・市場の理解と対応」では、「顧客・市場の理解」が70点を配分されています。優れた顧客満足経営は、
顧客の属性や個別のニーズをできるだけ詳細に把握することから始まるため、顧客・市場の把握・分析は重要
な評価となっているようです。~
「企業活動の成果」については、「事業の成果」が60点(つまり、1000点満点の6%)の配点しか与えられてい
ないことは注目するべきです。本来企業にとって業績向上は至上命題ですが、日本経営品質賞の価値観はプロ
セス重視であり、優れたプロセスが構築できれば事業の成果も向上すると考えているようです。