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労働安全衛生におけるリスクアセスメントとは


 労働安全衛生におけるリスクアセスメントとは、作業における危険性又は有害性を特定し、それによる労働災害や健康障害の重篤度(被災の程度)とその災害が発生する可能性の度合いを組み合わせて「リスク」を見積もり、そのリスクの大きさに基づいて対策の優先度を決めた上で、リスクの除去又は低減の措置を検討し、その結果を記録する一連の手順です。

リスクアセスメントの手順


リスクアセスメントは次の手順で行います。
  1. 職場に潜在するあらゆる危険性又は有害性を特定する。(あらかじめ定めた危険性又は有害性の分類に則して特定する、労働者の疲労等の危険性又は有害性への付加的影響を考慮する。)
  2. これらの危険性又は有害性ごとに、既存の予防措置による災害防止効果を考慮のうえリスクを見積る。(災害になった時のケガの程度はどうか、その作業は一日どの程度なのか、そのリスクの大きさはどうか、既存の対策は何かなどを考慮します。リスクは、例えば頻度と可能性と重篤度の和で表します。)
  3. 見積りに基づきリスクを低減するための優先度を設定し、リスク低減措置の内容を検討する。(対策の優先度、作業のやり方を変えられないか、何か設備的な対策がとれないか、管理的対策は可能か、対策をとった後にリスクの見直しを行ったかといった観点の検討を行う)
  4. 優先度に対応したリスク低減措置を実施する。
  5. リスクアセスメントの結果及び実施したリスク低減措置を記録して、災害防止のノウハウを蓄積し、次回のリスクアセスメントに利用する。

危険有害事象の例


【危険性の分類例】
  • 機械等による危険性
  • 爆発性の物、発火性の物、引火性の物、腐食性の物等による危険性
  • 電気、熱その他のエネルギーによる危険性
  • 作業方法から生ずる危険性
  • 作業場所に係る危険性
  • 作業行動等から生ずる危険性

【有害性の分類例】
  • 原材料、ガス、蒸気、粉じん等による有害性
  • 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による有害性
  • 作業行動等から生ずる有害性

【具体例】
挟まれる、巻き込まれる、転落する、
転ぶ、切る、擦れる、ぶつかる
吹き飛ばされる、頭を打つ
腰を痛める、感電する
目に入る、おぼれる
高温物に触れ火傷する、低温状態で凍傷になる
騒音で難聴になる、マイクロ波に暴露する
紫外線の放射を受ける、レーザーの照射を受ける
X線に暴露する、イオンビームに暴露する
有害物(ガス、薬品、有害材料)に曝露する、有害物を吸入する
火災が発生する、破裂する、爆発する

危険性又は有害性  +  現 象
災害に至る過程として「〜なので、 〜して」 、 「〜なので」+「〜になる」 、 「〜する」と特定します。

【具体例】
  • クレーン玉掛作業において、大型製品の部品加工終了後の玉掛け作業を実施していたところ、50mm程度上げた時、ワイヤがずれて傾き床側に落下し、作業員が下敷きになる。
  • フライス盤で、切削加工刃物の装着・交換をしていたとき、ドライブキーのかみ合わせが不十分な状態で引上げ軸を回転させたため、工具が回転し、切刃により工具をささえる手を切傷する。
  • ケーシングの座ぐりの切削加工の際、切粉をエアーで吹いて清掃していた時、切粉が目に入り負傷する
  • 旋盤作業で、主軸に取り付けた三つ爪チャックを使用して加工を行っていたら、突然チャックが主軸から外れて作業者に衝突して負傷する。
  • プレス作業で、両手押しボタンを操作しているが不良品を取り除こうとしたとき、光線式安全装置が故障で機能せず、手を金型に挟まれる。
  • ハンドドリルで穴あけ作業をしていたとき、回転数の合わないドリルを使用し、摩擦発熱によりドリルが食いつき、ドリルが回されて手首がねじれ、ねんざする
  • グラインダー等の加工後すぐに加工箇所に触れて火傷する
  • フォークリフトを用いた荷役作業のとき、荷を積んでバックする時フォークリフト後方にいたトラックの運転手に激突

リスク見積り基準の例

1) 重篤度の区分例(被災の程度)
致命傷:死亡、失明、手足の切断等の重篤災害
重 傷:骨折等長期療養が必要な休業災害及び障害が残るけが
軽 傷:上記以外の休業災害(医師による措置が必用なけが)
軽 微:表面的な傷害、軽い切り傷及び打撲傷
2)発生の可能性の区分例
確実である:かなりの注意力を高めていても災害になる
可能性が高い:通常の注意力では災害につながる
可能性がある:うっかりしていると災害になる
ほとんどない:通常の状態では災害にならない
3)危険性又は有害性に近づく頻度の区分例
頻 繁:毎日、頻繁に立ち入ったり接近したりする
時 々:故障、修理・調整等で時々立ち入る
ほとんどない:立入り、接近することはめったにない

リスクアセスメントの効果

  1. 職場のリスクが明らかになる
  2. 職場のリスクに対する認識を、管理者を含め、職場全体で共有できる
  3. 安全衛生対策について、合理的な方法で優先順位を決めることが出きる。またリスクレベルに対応した安全対策を選択(経済性の考慮により、費用対効果の観点から合理的な対策を実施することを含む)することができる
  4. 残留リスクについての認識と守るべきルール、緊急事態の備えの理由が明確となる
  5. 職場全員が参加することにより「安全衛生」に対する感受性が高まる
  6. 活動の結果として労働災害発生率が減少する

危険予知(KY)活動との違い


KY活動もリスクアセスメントと同じく災害防止対策のための予防的手段として事業場で広く活用されています。
KY活動は、その日その日、現場で作業を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を作業者がお互いに出し合い、話し合って共有化し、危険のポイントと行動目標を定め、作業の要所要所で指差呼称を行って安全を確認してから行動する活動です。
 つまり、日々実践することにより作業者のリスクに対する感受性を鍛え、リスクを回避することで労働災害を生じないようにする活動です。

 それに対しリスクアセスメントは、職場のリスクを定量的に見積もり、対策の優先度を決め、リスク低減措置としてリスクそのもの(機械設備や化学物質等)の除去や低減、適切なマニュアルの作成、保護具の使用などの措置を管理者や経営層を含めて検討し、措置を実施することで労働災害が生じないようにする取り組みです。

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